『残る恐怖の話』 ページ2
.
見下ろされることは恐怖だ。
囲まれることも。
今に自分を罵る言葉と暴力が落ちてくるに違いない。
長いことそれに晒され続けた身体は、そうなると自分の言うことを聞かなくなるのだ。
みっともなく震えて、息がし辛くなる。
視界が揺らいで、頭に、思考に靄がかかっていく。
感覚が鈍くなっていく。
衝撃を受けても痛みは感じず、ただ時が過ぎるのを待つ。
真っ暗闇、浮遊感。
床の上に転がっているのに浮いている様な。
視界は狭まっているのに、自分に向かって来る手足と下卑た笑顔だけ妙にはっきりと見える。
ぼわんとした音の中、罵倒だけははっきり聞こえる。
見なくて良い様に、聞かなくて良い様に、身体を縮めてぎゅっと小さくなる。
そうやって、耐えてきたのだ。
今でも夢に見る。
もう半年も経つのに、たかが半年では解放されないみたいだ。
もしかしたら一生こうなのかもしれない。
なんて思ってしまえば思考はどんどん後ろ向きに進む。
一生、この恐怖が残ったら。
どうしたら良いんだろう。
仲間に迷惑を掛け続けるんだろうか。
宮舘は溜息を吐いてベッドから降りた。
眠れない。
一度眠りについたのだけれど、悪夢に叩き起こされてしまった。
時計を見れば一時間も経っていないのだから溜息も吐きたくなる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 322人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
user(プロフ) - ライさん» 初めまして、コメントありがとうございます。私生活との兼合いでスムーズ更新とは言えませんが、今後も楽しんで頂けますと幸いです！ (3月5日 22時) (
レス) id: aa6a12d65e (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - 初めまして！更新楽しみに待ってます！ (3月5日 10時) (レス) @page37 id: 704f0c8ab3 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - ceruさん» 初めまして、コメントありがとうございます。あたたかく有難いお言葉、心の底から嬉しいです！これからも楽しんで頂けます様、精進いたしますのでよろしくお願いします！ (2月21日 1時) (レス) id: aa6a12d65e (このIDを非表示/違反報告)
ceru(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。作者さんの作品、全て文章力も内容も作品の雰囲気も素敵すぎて、一気に全て読んでしまいました。特に、この作品が大好きです。素敵な作品ありがとうございます！ (2月19日 14時) (レス) @page2 id: c99a8bf9b2 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - sunshineflowerlさん» 初めまして。コメントありがとうございます。その言葉が活力となっております。どうか楽しんで頂けますと嬉しいです！ (2月7日 1時) (レス) id: aa6a12d65e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：user | 作成日時：2024年2月4日 21時
