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・
「綺麗な人、かな」
うむ。
我ながらいい回答だと思う。
性別も特定せず、綺麗なのも嘘ではない。
これで兄が女性だと思い込んで＿＿
岩「そうか…男か…」
＿＿くれませんでした。
下唇を突き出して、拗ねた表情をしている。
子どもかーい。
岩「ふっか」
深「ん〜？」
岩「どんな人、相手」
深「そーだなあ…」
お願いだから、兄を煽る発言だけは、
深「仕事が出来て、スタイルが良くて、」
うんうん。
深「あとはー……岩本さんのことが好き」
岩「『は！？』」
何を言っているんだ、この人は。
驚きすぎて先輩相手に「は！？」って言っちゃった。
そんなこと聞いたら、
岩「このままAは連れて帰る」
こうなるに決まってるよね……？
岩「ふっかは降りて」
深「いやいや、高速道路ですよ！」
岩「キミなら大丈夫」
深「無理！死ぬ！」
・
『……つかれた』
一時はどうなるかと思ったが無事に到着。
なかなか帰ろうとしない兄を見送り、大量の荷物とともに空港内へ進む。
なぜ出発前からこんな疲れているのか。
どれもこれも、
深「ふあ〜〜、ねっむ」
隣で大あくびしている人のせいである。
『わざわざ言わなくてもいいじゃないですか』
深「何を？」
……分かってるくせに。
深「ウソウソ。ごめんね？拗ねた照が可愛くて、つい」
『可愛いのは否定しません』
深「堪んないよね、ギャップ」
しばらくの間、兄を愛でる会が開催されたのだった。
深「でもさー変にごまかすより良いと思わない？」
たしかに。あとからバレた方が危なかったかも…
深「許してくれる？」
『……はい』
深「やった〜。あ、コレもらうね」
『え』
返事をするより先に、私の手からキャリーバッグが消えた。
先を歩く彼の背中を慌てて追いかける。
『自分で持ちます！』
深「いーの。俺、荷物少ないし」
言われてみれば、小さめのボストンバッグだけだ。
私はキャリーにも収まりきらなかったと言うのに…
むしろ何が入っているのか気になる。
深「そゆことだから」
『ありがとう、ございます』
深「はいはーい」
私のキャリーを引く深澤さん。
なんだか不思議な気分。
そして、
2人でも思ったより気まずくなくて良かった。
"楽しい旅行になりそう"
＿＿この時の私はそう思っていた。
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作者名：あんこ | 作成日時：2024年4月16日 23時
