どんな空でも(4) (ページ2)

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「＿＿＿ ...うん」

どこまでも、高く、遠くに、自分らしく。
俺、好きなんだ、ラウールが好き勝手動くのも。
みんながそれにつられるのも。
本当は、ちゃんと楽しみなんだよ。

もちろん、ちゃんと立ち位置には帰ってきてね。

「怪我、事故には気を付けて。
最後まで、9人で誰も欠けることなく駆け抜けましょう。

... ＿＿＿ ...いくぞ！！！！」

9人の声が重なる。
佐久間がラウールの胸を2回叩く。
同じように返すのを見届けて、俺達も
強めに背中を叩きあって、位置に着いた。

オープニング映像が始まり、ファンの子達の
ボルテージも最高潮。
1回1回上がる歓声に、思わずにやけてしまう。

「...幸せだなぁ...」

イヤモニから、小さな呟きが聞こえてきた。
横を見ると、まだなにも見えない幕の裏側を
ただじっと見つめて、幸せそうに笑うラウール。

どうしてだか、喉元まで何かが込み上げてきて
慌てて口を閉じて頭を振った。

この景色は何度でも、訪れる。
そうさせてみせる。
そう思ってるけど、頭の片隅に何かが過ぎる。

スタッフさんの合図でゴンドラが下がる。
広がる景色に息を飲んだ。

凄いな、ラウール。

「ぁは、っ...み、んな、ずるい、なぁ...！」

真っ白な、景色だな。

SnowManが9人になってから、白色は
ラウールのメンバーカラーになった。
やっぱり最初は色々言われたし、
メンバーカラーのペンライトが出来てからは
余計にその景色を見ることはなくなった。

けど、凄いね。

今は、ラウールの白色だよ。
この景色は、ラウールのものだ。

始まりのD.D.

デビューはゴールじゃないよ。
そんな声が思い出される。

ここからが、スタートだ。
まだ俺達は、始まったばかりじゃないか。

イヤモニを片方とって、みんなの声を聞く。
最初からこんな風に聞くことが出来るのは、初めて。
デビューから今まで、沢山のことがあったから。

煽れば煽るだけ声になって返ってくる。
Grandeur辺りの時点で、もう佐久間やラウールは
ノリにのってしまってて、きっとリハーサルで俺が
言ったことなんてすっかり忘れてる。

いい、それでも構わない。
小言は後で言うことにする、振り間違えないのって。
今は楽しめばいい、それだけで、いいよ。

紹介ラップ。

『紹介ラップ、めっちゃ好き！
阿部ちゃんの語彙力の勝ちだね、これは。
自分の名前を沢山呼んでもらえるって、幸せだね』

リハの時にそう言って笑ってた。