ジェンダーレスへの花吹雪 (ページ16)

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言葉ってのは凄い。

今まで帰りたい、だの、

早く会話は終わらないだろうか、だの

考えていた自分が風船のように一瞬にして消え去るのを感じた。

「Aくん……。

Aくん、に、これを…。」

呟いて、口角が上がるのを感じた。

甘い物全般には目がないAくん。

岩本くんが甘いものを好きなことは勿論承知の上だ。

けれどスタッフさんたちが総じて岩本くんですら食べるのを躊躇うだろうとみたこの量と味。

確かに癖は強いとは思っていたが、

この量は確かにキツイな…。

そんな時にスタッフ間で挙がったのは、

智由Aという男。

そりゃあもう確信めいたものがあったのだろう。

それ程に甘党だから。

「…あの、それ、貰います。

良いんですか？」

「勿論です！

我々では、その、あまり良くない発言ですが

手に負えない…ので、

貰っていただけると本当に助かるんです。」

「こちらこそ助かります。」

よっ、と。

お菓子の山を譲り受けた。

「ありがとうございま…」

「あのっ！」

お礼を言おうとすれば、
先程走って駆けつけてくれたアシスタント仲間の女性が口を開く。

「そ、そそそ、そのお菓子…、

ひょっとして、本当に

Aくんにあげるんですかっ！？」

それも瞳をうん、とキラキラさせて。